お雑煮のブログ

ほぼ偏見

今花火は辛い

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夜の散歩です。もう恒例になってきました。

 

今日は片手にゴミを持ちイヤホンをつけながら歩いている。

 

燃えるゴミを捨てようとゴミ捨て場の方に向かうと何やら黙々と煙が上がっていて、楽しげな声も聞こえる。

 

マンションの住人が花火をしていた。とても賑わっていて、いかにもな「夏」だった。僕に足りない「夏」凝縮された「夏」がゴミ捨て場の前で意気揚々と繰り広げられていた。子供たちは手持ち花火を持ち楽しんでいて、その様子を親は優しそうに見ている。そこを

 

「すみません…ちょっと良いすか……すみません…」

 

と言いもくもくと立ち上る煙を避けながらゴミを捨てる。出る際も

 

「すみません…あ、全然大丈夫です…ぁせん…」

 

と凝縮された「夏」を避けながら心優しく気さくな同じマンションに住む住人を演じ、マンションとは逆方向に向かい本編である散歩がスタートした。とんだ特典映像からスタートしてしまったおかげで頭の中は花火の事でいっぱいだ。あー花火したい!可愛い女の子とかと花火したい!夏を味わいたい!夏嫌いだけど!

 

くそ…花火なんて見るからこんなじめっとした夜に悶々とした思考になってしまった。

 

しかも今あそこで花火が行われているのであれば帰りも遭遇する可能性があるわけだ。それはまずい。ただでさえ青春とか花火とか充実した夏とは距離がある僕が”生の花火”を2回見る行為は危なすぎる。実は心の中にしまっているそういうキラキラしたものに対する憧れが溢れ出てしまう。

 

自分の精神の安定を図るため公園のベンチで時間を潰すことにした。

 

情けない。ほんとに自分が情けない。花火を見ただけでナーバスな気持ちになってしまうなんて自分でもどうかしていると思う。いっそ開き直って1人で花火でもして話の引き出しを増やそうかとも思ったが、引き出しを一つ増やすにしては行動がリスキーすぎると思ったのでやめた。近所の知り合いにでも見られたらコロナが収束してもソーシャルディスタンスをとられてしまうだろうし。

 

結局いつもと同じような悩みを公園で考えていたが、今日は花火フレーバーだった。火薬の匂いがなんとなく鼻に残っている。

 

この前も花火をしていたところに遭遇した事を思い出す。その時は男1女2だった。その構図を見るたび心がうめき声をあげているのが聞こえる。「クソっ!僕もそうなりたい!」憧ればかりかお前は。渦を巻く頭を抱えながら、そろそろ平気だろうと思い帰ることにした。

 

ビクビクしながらマンションの前まで行くとゴミ捨て場の前にはもう誰も居なかった。ビチャビチャになったコンクリートの地面から香るあの変な匂いだけが残り、こんなことに神経質になっている自分がまた情けなくなる。

 

来年こそは誰かと楽しく花火ができたらいいな。とか珍しく平和でポジティブな事を涼しい部屋で考え眠りについた。

 

と、終わらせたいところだがやっぱり「男1女2の花火は気に食わないな」またループが始まった。